事務所にセーラー君という美大生のバイトがいる。セーラー君は昼食を外で食べないし、持ってこない。僕をあてにしているのだ。僕がお昼に出るとセーラー君はついてくる。逃げてもピタッとついてくる。
しょうがないので、最近はセーラー君の分までお昼を買っている。不思議とそれが楽しみになってきた。
おむすび権米衛さんのおむすびはデカくて美味しい。ふわっと握った空気感がいい。今日も4個買った。エビ天、ジャコ紫蘇、梅ひじき玄米、高菜玄米。
おむすびを出したら、セーラー君が背後に来た。僕はイジワルをして写真を撮って食べないでおいた。セーラー君はじっと我慢をしていたけれど、僕が息を吸った瞬間、エビ天おむすびをパクッと食べた。
エビ天は僕が楽しみにしていたのに。