辻堂はいつも海からの軽い風が抜けている街だ。今日も風が吹いている。そんな風に乗って歩いていたら、夏の青い空の下に鮮やかな白い暖簾を見つけた。富久鮨さんだ。この外観を見たら入らない理由はないだろう。
しかし店頭にはメニューなくて、営業中かどうかも分からない。気の弱い僕は一瞬躊躇したけど、まぁいいかと扉を引くと、お店の方が昼食中だった。
「すみません、やってますか」「やってますよ、どうぞ」
お店の方は40代くらいのご主人と、心配になるくらい高齢のご婦人。親子は間違いない。
ちらし鮨が食べたかったので値段を聞いたら、1200円、1800円、2500円という感じだったので、瓶ビールと『1200円のちらし鮨』を注文した。
店内にメニューが一切ないのでビールの値段はわからない。
注文していないのに、こういうものが来る日本のスタイルがどうも分からない。
上手に茹でられた美味しい枝豆だったけど、食べたい時に食べたらもっと美味しいだろう。
出てきたちらしを見て1200円のレベルでないのに驚いた。ちょっと安すぎでしょう。
この職人は先代の親方(多分親だろう)にしっかり仕込まれたんだろうな。
カウンターの磨き込まれ方や、仕事の仕方でよくわかる。
この人には効率という考え方はないだろう。先代に言われた通りの仕事をしている感じがする。
しめて2500円くらいだった。ちらしが1200円で残り1300円の内訳を知りたい僕はせこいのかな?
本当に大丈夫かなと心配するくらい高齢のお母さんに丁寧にお礼を言われた。
いつまでもあってほしい。夜は、軽くつまんで飲んで握ってもらって7000円くらいだそうだ。