小田急・江ノ島線の本鵠沼駅の近くに、静さんというボロい中華屋がある。何度か入ろうと思ったが、『きたなミシュラン』にしては度を越しているので躊躇していた。しかし今日は思い切って入ってみたのです。どんなお店かな、ドキドキ、ドキドキ。僕は、ドアに手をかけた。横に引く。
ドアを開けたいのだが、うう、開かない。再度力を入れる。ズル。あっ、開いた、スーー。なんだ、この感じ。
びっくりした〜。
何がって?おばあさんがひとりで分厚いトーストを食べならがテレビを見ていたんだ。しかも店内はお店というより、そのおばあさんちの様にゴチャゴチャしている。こういう店は何度も経験しているが、ここのボロっちい度はかなりレベルが高い。
「いらっしゃーーい!」とおばあさんが大きな声で笑いながら僕を見た。歯がない。
店内はこんな感じでトータルコーディネート。カウンターにある、おばあさんが食べていたトーストとピーナッツバターが見えますか。
失礼ながらこういったオモムキの店は、白飯で失敗することが多い。昨日のご飯だったりする訳で、そうなると致命的だ。それはチャーハンでもごまかしきれない。やっぱ、ここは麺だな。にらそば550円を注文。
厨房でおじいさんが「もやしがねえーぞーー」とツブヤく。おばあさんが「オトツイはあったでしょ」と大きな声で答える。
こうなったら時間がかかると思い、「すみません。ビールください」。おばあさん、「ビール飲むの?いいの?まぁ、悪いわね」といって嬉しそうに、極小のサービスおつまみとビールを持ってきた。おつまみは小さい。
なぜ視力検査表が貼ってあるのか?なぜ子機が?
おばあさんがニコニコ笑いながらにらそばを持ってきた。第一印象は、スープが少ない。上に乗ってるにら炒めが意外にもキチンと作られている。かなりの完成度である。
炒めた具材は旨そうだ。しかしですな、麺が固まってる。
麺を出そうとすると、カタマリのまま全部一気に出てくる。
再度いいますが、麺が固まってる。でも味はいい。このにらそば、けっこう旨い。
どのくらい固まってるのか天地に返した。ピザをひっくり返すように簡単だった。
おばあさんはお昼のワイドショーに夢中。僕がきて中断したトーストをまた食べ始めた。
しかし、麺がなくならない。おじいさん、二玉いれたような気がする。キツイ。
お身体を大切に。おいしかったです。店を出たら、この店の自転車の荷台に買ったばかりのキャベツがあった。何故だろう。